サンタバーバラはカリフォルニアのセントラルコーストの最南端にあるワイン産地。知名度はでは劣るがナパバレーやソノマカウンティと並ぶカルフォルニアを代表するワインの名産地で特殊な地形が生む冷涼な気候と多様な土壌により様々な種類のワインの栽培・醸造している。
歴史が浅いことから最先端のクローンや栽培、醸造技術を採用することで高品質のワイン産地となっており、特にピノノワールやシラーなどは評価が高い。
この記事では、そのサンタバーバラのピノノワールのおすすめワインを8銘柄紹介したいと思います。
その他、サンタバーバラの解説記事やシラー/ローヌブレンドについてはこちらの記事もご参照ください。
サンタバーバラの代表的なワイナリー
オー・ボンクリマ(Au Bon Climat)「カリフォルニアで表現するブルゴーニュスタイル通称ABC」

1982年にサンタバーバラで設立されたワイナリー。設立以来オーナーのジム・クレンデネン(~2021)はピノノワールを製造してきた。
ブルゴーニュに心酔していたことから、土地の特徴である抑制やフィネスを追及したワイン造りが特徴で、アルコール度数の高いワインを嫌う。こういった傾向はしばしばアメリカのワイン業界からは低い評価を受ける原因にもなった。
セントラルコーストを中心にカリフォルニアの優秀な畑からの仕入れとともに自社畑も所有。仕入れが年毎に代わることもあり混乱するほど多くのラベルが存在する。日本でも非常に人気が高い。
イザベル(Pinot Noir “Isabelle”)

ワイン名 | イザベル |
生産地 | カリフォルニア(カリフォルニア各地の契約畑のブレンド) |
評価 | 2018:JD95,V93 2017:WE96 2016:JD94,WS93,RP92 |
価格 | ワイナリー価格$50 |
2019年は深く、複雑で、思慮深いものです。熟成するまでのすべての詰め物がありますが、ワインは魅力的なしなやかさで前向きであり、今では非常に楽しいものになっています。ドライチェリー、ラズベリーのタルト、スパイシーなオーク、そして土と林床のヒントがすべてガラスから浮かび上がります。イザベルは、力強さとパワーを備えた「最も豊かな」ピノノワールですが、それでもバランスが取れており、食べ物にやさしいです。オーク、タンニン、アルコール、フルーツ、酸がすべて1つのシームレスなステートメントにまとめられた完全なピノノワールです。イザベルは、休日のお祝い、お祝いのディナー、または特別な日を特別なものにするための特別な機会のためのピノノワールです。
Au Bon Climat2019ワインメーカーノート
イザベルは1995年の登場したラベルで他のオー・ボン・クリマのピノノワールとは異なり複数の畑から仕入れたブドウをブレンドしたもの。セントラルコーストを中心に、メドシーノ、ロシアンリバーなどからも選ばれたブドウでそのブレンドは何年にもわたり変化してきた。
日本でも5,000円台で購入可能、こちらは2019年ヴィンテージ
フォクスン(Foxen Vineyard)「ミニマリストをコンセプトに単一畑からの少量生産主体のピノノワール」

ビル・ウェイスンとディック・ドーアによって1986年設立にサンタバーバラに設立されたワイナリー。サンタマリア、サンタリタとサンタバーバラカウンティ内の自社畑と長期契約畑から仕入れたブドウでブルゴーニュ及びローヌ品種のワインをつくる。
ミニマリストでサステイナブルなワインづくりをコンセプトにしており2009年に完成したワイナリー兼テイスティングルームは太陽光発電。
ビエンナシド・ブロック8(Bien Nacido Block Eight Pinot Noir)

ワイン名 | ビエンナシド・ブロック8・ピノノワール |
生産地 | サンタバーバラカウンティ/サンタマリアヴァレー/ビエンナシドヴィンヤード |
評価 | 2017:TP94,JD94,WE92,W&S92 2016:JD95,WE94,RP92 2015:WE96,RP93,JD92 Vivino:平均4.3 |
価格 | ワイナリー価格$65 |
2017年のピノノワールビエンナシドヴィンヤードブロック8でも同じように育ちましたが、より大きなブロックから生まれました。そのわずかに明るいルビー/プラムの色は、ドライチェリー、林床、土のローム質の土壌のノートの古典的なノートを提供する、より風味のある、ミディアムからフルボディの努力に取って代わられます。それも美しくバランスが取れており、層状になっていて、素晴らしいワインです。今後10年間いつでも飲んでください。
Jeb Dunnuck
サンタバーバラカウンティでもピノノワールで有名なサンタマリア、サンタリタの単一畑やブレンドなど多くランナップ。サンタマリアのブレンドは$36と手頃。映画「サイドウェイズ」の撮影にも使われたワイナリー。
こちらは日本ではあまり流通していないようです。
メルヴィル(Melville Winery)

1989年にソノマカウンティのナイツバレーでロン・メルヴィルによって設立された家族経営のワイナリー。1996年に冷涼な気候でピノノワール、シャルドネ、シラーを育てたいというロンの長年の願望をかなえるべくサンタ・リタへ移ることを決意。
サンタ・リタの中心部に120エーカーの自社畑を持つ。土壌は主にロンポック砂丘砂、粘土質ロームとモントレー頁岩が点在。
ピノノワールのクローンが17種類、シラーが8種類、シャルドネが8種類とクローンにこだわったワイン作り。また、それらの特徴を活かすための醸造にもこだわる。
アンナズブロック(Anna’s Block Pinot Noir)

ワイン名 | アンナズブロック・ピノノワール |
生産地 | サンタバーバラカウンティ/サンタ・リタヒルズ |
評価 | 2019:WE96,JD94,V93 2018:SJ96,WE94,JD94 2017:WE96,W&S93,RP92 Vivino:平均4.1 |
価格 | ワイナリー価格$62 |
テイスティングノート:絶妙な香りと魅力的な2019アンナズは、ブラックチェリー、ドライローズペタル、バイオレット、ラベンダーの豊かなブーケを提供します。ハイビスカスティー、アニゼット、グリーンペッパーコーンの香りがバックグラウンドで踊り、丸くて寛大な味わいは、ビングチェリーとタンジェリンの熟したフルーツノートを提供します。香ばしい紅茶、エリンギ、ほこりっぽい海底のミネラル感のバランスの取れたうま味、アンナの葉は印象に残ります
Wine Enthusiast
ピノノワールはこちらの他にエステートが$40、エメリーズが$85、その他シャルドネ、シラー、などいずれも高評価なワインでおすすめ。
紹介したワインは日本ではあまり流通していないようですが、こちらのエステートは6,000円台
シースモーク(Sea Smoke)

起業家のボブ・デービスによって1998年にサンタ・リタに設立。2001年が初ヴィンテージ。ワールド・クラスのピノノワールを育てるのに最適な気候・土壌を持つサンタ・リタ、その一角の南向きの丘の中腹の断崖に自社畑を持つ。
日中は温暖で日当たりも良いが、その名の通り海からの霧の層(煙)によって夜間に温度を下げる役割をもつ。この温度差は長い熟成期間は豊かでしなやかなワインとなる。
粘土質の土壌に10のピノノワールのクローンが植えられており、それぞれの特徴や土壌プロファイルに関する深い研究が行われる。それらの個々のロットからヴィンテージごとに最適なブレンドがおこなわれる。
サウスイング(Southing Pinot Noir)

ワイン名 | サウスイング・ピノノワール |
生産地 | サンタバーバラカウンティ/サンタ・リタ・ヒルズ |
評価 | 2018:WE95 2017:WE96,TP95 2015:TP96 |
価格 | 実勢価格$100 |
毎年、サウシングの目標は複雑さと優雅さのマリアージュという理想を実現させるためにつくっています。刻々と変化するサウシングのアロマは、新鮮なイチゴ、ゼラニウム、モンモランシーチェリーを展示しています。微妙なベーキングスパイス。私たちのエステートブドウ園の特徴的な涼しい気候の酸性度によって繊細なタンニンとミネラル感が増します。
SeaSmoke2019ワインメーカーノート
ザ・ヒルト(The Hilt)

サンタ・リタにある著名な若手醸造家であるマット・ディーズがワインメーカーを務めるワイナリーでピノノワールとシャルドネを生産している。
バラードキャニオンにあるジョナタ(ホナータ)とは姉妹関係にあり、カルトワインで有名なスクリーミング・イーグルのオーナーが所有する。マット・ディーズは土壌学の学位を持ち卒業後はナパのワイナリーで3つの畑を持ち、いずれも北向きで、海に近く、吹きさらしの厳しい環境にある。
土壌は痩せておりブドウは地中深くまで根を張る。酸味を保ったまま熟成することを可能にする。敷地内には多様なクローンがうえられており、微気候(マイクロ・クライメイト)や多様な土壌との組み合わせは複雑なワインづくりを可能とする。
ザ・ヒルト・エステート(The Hilt Estate Pinot Noir)

ワイン名 | ザ・ヒルト・エステート・ピノノワール |
生産地 | サンタバーバラカウンティ/サンタ・リタ・ヒルズ |
評価 | 2018:V93,JD93 2017:V95,JD94,D93 2016:RP93,JD93 Vivino:平均4.0 |
価格 | 実勢価格$45 |
鮮やかな赤いベリー、お香、ブラッドオレンジ、クローブ、グリーンペッパーコーン、紅茶を添えた、明らかに風味豊かでワイルドなノーズでお迎えします。ドライセージ、ローズマリー、メントール、ニワトコのノート。ザクロのようなジューシーさで口蓋を横切って転がるシームレスで純粋な赤い果実。集中的で合理化された攻撃と、フィニッシュの持続的でありながらバランスの取れた明るさで、私たちのエステートブドウ園の寒くて風の強い条件を感じることができます。非常に細かいタンニンを大量に含むソリッドヒルト構造。全体として、魅惑的で白亜質で非常に複雑なヒルトエステートのピノノワール。
The Hilt 2018ワインメーカーノート
こちらのエステートの他に単一畑の2種類のピノノワールがありいずれも$50~60程度と比較的リーズナブル。姉妹ワイナリーでローヌ、ボルドー品種のホナタ(Jonata)含めてサンタバーバラで注目のワイナリー。
4,000円台なのでお買い得。現行ヴィンテージとのことだが一応確認した方が良いかも。
こちらは2018年ヴィンテージと明記されているので少し安心かも。5000円ちょっとでこちらもリーズナブル。
ポールラト(Paul Lato Wines)

ポーランド生まれのポール・ラトが2002年に設立したワイナリー。ワインづくりを始める前はソムリエとして世界中を旅してワインの研究をした。
サンタバーバラを中心にセントラルコーストの有名な畑との良好な関係からピノノワール、シャルドネ、シラー、グルナッシュなど単一畑のものやブレンドを小ロットでリリース。
ラト自身が世界中の最高のワインを味わった経験から調和、優雅さをもった最高のワインづくりを目標としている。上質な料理を補完するのに十分な構造とバランスを備えた、シームレスでテクスチャーのあるワイン。
スエルテ(Suerte Solomon Hills Vineyard Pinot Noir)

ワイン名 | スエルテ(Suerte Solomon Hills Vineyard Pinot Noir) |
生産地 | サンタバーバラ/サンタマリア(AVA)/スエルテ・ソロモン・ヒルズ(畑) |
評価 | 2019:JD97 2018:RP96 2017:RP96 Vivino:平均4.4 |
価格 | ワイナリー価格$85 |
サンタマリアの砂地にある2019年のピノノワールスエルテソロモンヒルズヴィンヤードは、すべて除梗され、62%の新しいフレンチオークで17か月間過ごしました。ここでは、熟したラズベリーと野生のイチゴの果実がたくさんあります。クラシックな林床、スパイス、フローラルのニュアンスに加え、グラスの中で時間をかけて海のような潮風が吹いています。適度な酸味、丸みを帯びた青々としたテクスチャー、熟したタンニンを備えた、もう1つのすぐに使えるセクシーな味わいです。 、すべてを正しく行うラインナップのシームレスなワイン。今後5〜7年間飲んでください。
Jeb Dunnuck
アメリカでもなかなか入手できない。こちらは2017年ヴィンテージが15,000円台。
こちらは、リリース当初は日本向けに作ったブレンド「心」、今ではアメリカでも販売されていてメーリングリストでも人気銘柄とのこと。話題性もあるのでプレゼントに良さそう。
サンフォード(Sanford Winery)

1971年にサンタリタで初めてのブドウ畑をはじめたのがサンフォード。この地域を世界的にも評価の高いピノノワールの産地にしたサンタリタのベンチマークとなるワイナリー。
ランチョラリコナダとサンフォード&ベネディクトの2つのエステートを持ち、自社のワインだけでなく、オーボンクリマなどをはじめとして他のワインメーカーにブドウを供給。
エステートの単一畑、クローンやブロック限定、ブレンドなど多くのピノノワールをラインナップ。比較的リーズナブルなものからプレミアムなものまで、サンタリタのピノノワールの特徴を表したワイン。
サンフォード&ベネディクト・ピノノワール(Sanford & Benedict Pinot Noir)

ワイン名 | サンフォード&ベネディクト・ピノノワール |
産地 | サンタバーバラ/サンタ・リタ・ヒルズ/サンフォード&ベネディクト |
評価 | 2017:JD97,RP93 2015:WE93,WS92 2014:JD94,WS92,WE92 Vivino:平均4.3 |
価格 | ワイナリー価格$75 |
2018年のサンフォード&ベネディクトピノノワールは明るく、美しくレイヤードで、ニュアンスがあります。砕いた花、パイプタバコ、ザクロ、ラズベリー、シナモンはすべて、この官能的なワインを美しく彩ります。味わいは、素朴でスパイシーなレッドベリーのフレーバーを、上品な食感でお届けします。ブドウ園が輝きを放つように、フレンチオーク樽(30%新品)で15ヶ月間熟成させたセラーで穏やかなアプローチを取ります。
Sanford Winery 2018ワインメーカーノート
サンフォードのワイン自体は日本ではあまり流通していないようですが、こちらはサンフォードの畑のオーボンクリマのワイン
ビエンナシド(Bien Nacido Vineyards)

1973年に最初に植えられたサンタマリアAVAにあるサンタバーバラを代表するブドウ畑を持つワイナリー。こちらもサンフォード&ベネディクト同様、自社ブランドでのワインを作る一方で有名ワイナリーへのブドウ供給者として重要な役割を果たしてきた。
2つのエステートがあり、ビエンナシドヴィンヤードは、火山性、石灰質を含む岩の多い土壌と涼しい気候、ソロモンヒルズはより海に近いことから海洋由来の砂土壌とさらに冷涼な気候からエレガントなピノノワールになる。
ビエンナシド・ピノノワール(Bien Nacido Pinot Noir)

ワイン名 | ビエンナシド・ピノノワール |
産地 | サンタバーバラ/サンタマリア/ビエンナシドヴィンヤード |
評価 | 2019:JD96,TP95,V91 2018:TP98,SJ98,WE95 2016:TP96,JD96,WE96 Vivino:平均4.1 |
価格 | ワイナリー価格$60 |
カルダモン、クローブのつぼみ、ドライブラシ、ブラックチェリーのクラシックなビエンナシドピノノワールのアロマが、風船ガムや赤い甘草などの若いワインのキャラクターと混ざり合っています。味わいは上品なタンニン、バランスの取れた酸味、すっきりとした長い余韻に集中しています。これをすぐに開いて、果物の甘さが何十年も続くことを知ってください。
Bien Nacido 2019ワインメーカーノート
こちらも日本ではあまり流通していないようです。2015年のオールドヴァインが2万円以下。
まとめ
まだまだ日本では知名度の低いサンタバーバラのピノノワールですが、実力はカリフォルニアのソノマカウンティやオレゴンのウィラメットバレーにも匹敵する。知名度が低い分、お買い得なものも見つけやすいかもしれません。
テイスティングも比較的リーズナブルなので、サンタバーバラ観光の際にはぜひ訪れてみてください。
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