パーカーポイントってご存じでしょうか?
ワインのレイティングには様々な種類のものがありますが、パーカーポイントはその中でも最も有名なもの。特に100点満点を取るとそのワインは市場で高い評価を得て価格が高騰することもあるほど影響力が高くなっています。
そのパーカーポイントで100点を獲得したカリフォルニアワインをこれまで獲得したワインの本数(同じ銘柄で異なるヴィンテージもカウント)でランキング。
100点を獲得した回数の多いワインブランドをそれぞれの特徴について紹介しながらランキング形式で紹介していきたいと思います。
パーカーポイントとは?
そもそもパーカーポイントとは何なのでしょうか?
パーカーポイントとは、ワインアドヴォケイト誌がつけた点数のこと。
ワインアドヴォケイト誌はアメリカのメリーランド州出身の弁護士だったロバート.Mパーカーによって1978年に創刊された隔月のワイン雑誌。
1982年のボルドーのヴィンテージの高品質を正確に予測したことで有名になり、一般消費者にとって世界の高級ワインの標準的な指標となった。
そのテイスティング能力や影響力からパーカー氏は神の舌を持つ男やミリオンダラーノーズなどと呼ばれるように。
現在、ワインの評価で主流となっている、100点満点の採点方式を導入したことでも有名。
パーカー氏は2006年からは世界中の高級ワインをカバーするスタッフのグループを選定。2012年にはフルタイムから引退し、2019年には正式に引退しています。
現在ではミシュランがワインアドヴォケイトの所有者となっています。
他にも、ライバル誌のワインスペクテータ誌や、イギリスの雑誌でキャンター誌、ワインスペクテータ元の編集長のジェームス・サックリング、など多くのライバルがありますが、
影響力という意味では本人が引退した今でもワインアドヴォケイトが最も大きく特に100ポイント獲得のワインは注目されます。
採点方法
50点の基本点に、色と外観5点、アロマとブーケ(香り)15点、風味と後味(20点)、総合評価とポテンシャル10点の100点満点を最高評価としてポイントがつけられます。
96-100 | Extraordinary (並外れた、別格) |
90-95 | Outstanding (優れた、傑出) |
80-89 | Barely above average to very good (平均以上から非常に良い) |
70-79 | Average (平均) |
60-69 | Below Average (平均以下) |
50-59 | Unacceptable (許容できない) |
ランキング
では早速、獲得回数の多いブランド(ワイナリー)から順番に紹介します。
Sine Qua Non
カリフォルニアワインで一番獲得回数が多いのはナパバレーでもソノマカウンティでもなく品種もカベルネ・ソーヴィニョンではなく、セントラルコーストのローヌ系品種を中心にしたSine Qua Non(シネクアノン)
2002年に初めて100ポイントを獲得、その後合計26回。漫画神の雫の十二使徒としても登場。日本でも有名なカルトワイン。
100ポイント獲得本数 | 26回 |
銘柄数 | 25銘柄 |
ヴィンテージ | 2000年に初の100ポイント、00年代に12回、10年代に回本獲得 |
ブドウ品種 | グレナッシュ11本、シラー10本、その他5本 |
産地 | セントラルコースト内のサンタバーバラ(サンタリタ・ヒルズ)、エドナバレーなど |
価格帯* | $300台~$3,000台まで。平均は$1,000程度 |
*価格は米国内のネットでの販売価格から参考値
【ワイナリーの特徴】
カリフォルニアのカルトワインでも最も有名なワイナリーのひとつ。シラー、グルナッシュ、というローヌ品種を中心に毎年異なるラベル、名前、ブレンドをリリース。
サンタバーバラとその南のオークビューに計4つの自社畑を所有、それぞれが異なる土壌と微気候(マイクロクライメイト)を持つ。
醸造はロサンゼルスのすぐ北のベンチュラ。1994年にリリースしたThe Queen of Spadesが最初のヴィンテージ。自然が与えてくれたことを全てワインで表現することを目標に、熟した風味豊かでありながら、優雅でバランスの取れたワインづくり。
2019年のシラー「ディステンタ・ワン」は最新の100ポイントワイン。まだ5万円台で買える。値段があがる可能性もあるし、オーパスワンと同等の値段で希少価値は高い。
Hundred Acre
2番目は、22回獲得のHundred Acre(ハンドレッド・エーカー)、元投資銀行家がナパバレーに創業したブティックワイナリーで細部にこだわり「完璧」なワインでないとリリースされない。
ナパバレーのカベルネ・ソーヴィニョンはロバートパーカーの100ポイントを数多く獲得しているがその中でも最も多いのがHundred Acre
100ポイント獲得本数 | 22回 |
銘柄数 | 6銘柄 |
ヴィンテージ | 2002年に初の100ポイント、00年代に7回、10年代に15回 |
ブドウ品種 | カベルネ・ソーヴィニョン |
産地 | ナパバレー |
価格帯 | $600台~$1,000まで。平均は$700程度 |
*価格は米国内のネットでの販売価格から参考値
【ワイナリーの特徴】
1998年に元投資銀行蚊家のジェイソン・ウッドリッジによって設立された、セントヘレナに拠点を置くワイナリー。名前の由来はクマのプーさんの森の名前にちなんでつけられた。
セントヘレナ、ハウエルマウンテンで栽培、醸造と細部まで徹底的にこだわったワインをつくる。ひとつのブドウの樹に一房になるよう剪定。新樽のフレンチオークで36~42カ月熟成。ラベルごとに異なる特徴があるが、一般的な特徴は、豪華でクリーミーな食感。
直近の100ポイントは2018ヴィンテージ。10万円弱。
Schrader Cellars
3番目は21回獲得のSchrader(シュレーダー)、ナパバレーでも最も有名なオーパスワンやスクリーミングイーグル、ハーランなどがあるオークヴィルとナパを代表する醸造家トーマス・ブラウンの最強の組み合わせ。
100ポイント獲得本数 | 21回 |
銘柄数 | 7銘柄 |
ヴィンテージ | 2002年に初の100ポイント、00年代に12回、10年代に9回 |
ブドウ品種 | 全てカベルネ・ソーヴィニョン |
産地 | ナパバレー |
価格帯* | $400台~$1,000まで。平均は$500程度 |
*価格は米国内のネットでの販売価格から参考値
【ワイナリーの特徴】
ナパを代表するカベルネ・ソーヴィニョンのプレミアムワインがシュレーダー。1998年にフレッド・シュレーダーが設立。(シュレーダーは92年に元妻と後述のコルギンを設立)
ナパの単一畑のカベルネ・ソーヴィニョンが主体で、オークヴィル、ラザフォード、セントヘレナ、などのブドウを使用しているが、特にオークヴィルのト・カロンは非常に評価が高くRP100ポイントも21回のうち19回がト・カロンの畑から。
トーマス・ブラウンは創業当時はカベルネ・ソーヴィニョンの醸造経験はなかったが今ではナパバレーを代表するワインメーカー。
2015年ヴィンテージ、100ポイント。7万円台。
Colgin
4番目はこちらもナパバレー、カベルネ・ソーヴィニョンのカルトワインの代表格であるColgin(コルギン)、合計19回獲得、2010年代ではSchrader(シュレーダー)を上回る13回。
100ポイント獲得本数 | 19回 |
銘柄数 | 4銘柄 |
ヴィンテージ | 2002年に初の100ポイント、00年代に6回、10年代に13回 |
ブドウ品種 | カベルネ・ソーヴィニョン3銘柄(18回)、シラー1銘柄(1回) |
産地 | ナパバレー |
価格帯* | $300台~$1,000まで。平均は$500程度 |
*価格は米国内のネットでの販売価格から参考値
【ワイナリーの特徴】
1992年にアン・コルギンと元夫のフレッド・シュレーダーによって設立。(フレッド・シュレーダーはその後コルギンを離れ自身のブランド、シュレーダーを立ち上げる)
セントヘレナに2つ、オークヴィルに1つのエステート(自社畑)はいずれもナパバレーの丘の中腹。最高級の新古典主義の製造方法、少量の収穫、注意深い選別、最新の注意を払ったブレンド。
それぞれのエステートの土地の特徴を活かしたミネラル感のあるエレガントで深みのあるワイン。
直近の100ポイント、2018年ヴィンテージ、9万円台。
Verite
5番目はソノマカウンティのカベルネ・ソーヴィニョンとメルローのVerite(ヴェリテ)。マイクロクライメイトと多様な土壌を活かし区画ごとに醸造し慎重にブレンド。
他のナパバレーのカルトワインとは一線を画するソノマカウンティのカルトワイン。
100ポイント獲得本数 | 16回 |
銘柄数 | 3銘柄 |
ヴィンテージ | 2001年に初の100ポイント、00年代に8回、10年代に8回 |
ブドウ品種 | カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー |
産地 | ソノマカウンティ |
価格帯* | $400台 |
【ワイナリーの特徴】
ソノマを代表する大手ワイングループであるケンダル・ジャクソンの故ジェス・ジャクソンとフランスボルドー出身のピエール・セイランが世界クラスのワインをつくることというビジョンのもと1997年に設立されたプレミアムワイナリー。
ヴィグネロンといわれるブドウ栽培とワイン製造の統合的なアプローチ、4つのアペラシオンにまたがる50を超えるマイクロクリュから各ブレンドを慎重につくりあげる。
カベルネ・ソーヴィニョン主体のラジョワ(La Joie)、メルロー主体のラミューズ(La Muse)、カベルネフラン主体のルデジール(LeDésir)の3種類のみをリリース。
いずれも毎年高い評価を得ており、ソノマのプレミアムワインの頂点。
直近の100ポイントは2016年ヴィンテージ、6万円台。
Realm Cellars
6番目は、こちらもナパバレーのカベルネ・ソーヴィニョンのカルトワイン。2012年に初の100ポイントを獲得、以来13回。他のナパバレーのカルトワイン同様にメーリングリストは数年待ち、小売店ではみかけない。
100ポイント獲得本数 | 13回 |
銘柄数 | 4銘柄 |
ヴィンテージ | 2012年に初の100ポイントでその後計13回 |
ブドウ品種 | カベルネ・ソーヴィニョン(12回)、カベルネフラン(1回) |
産地 | ナパバレー |
価格帯* | $400台~$1,500まで。平均$800程度 |
【ワイナリーの特徴】
2002年に設立。仮想ワイナリーとしてオークヴィルのト・カロンやドミナスなどの畑からブドウを仕入れて醸造。
2012年から果実味の強いものから長期熟成の可能性と鮮度に重視を置くワイン造りへ転換。オークヴィル、セントヘレナなどの契約畑やスタッグスリープにあるエステート(自社畑)などからシングルヴィンヤードとブレンドを多くラインナップ。
近年最も注目されるカルトワインのひとつ。
2018年ヴィンテージの100ポイント、8万円弱。
Abreu Vineyards
7番目はこちらもナパバレーのカベルネ・ソーヴィニョン主体のカルトワインだが、ブドウ栽培家として有名なデビッド・エイブリューが手掛けるワイナリー。
デビッドはナパバレーのトップワイナリーのほとんどと関わりをもつ栽培家。
100ポイント獲得回数 | 12回 |
銘柄数 | 3銘柄 |
ヴィンテージ | 1997年に初の100ポイント、00年代に6回、10年代に5回 |
ブドウ品種 | カベルネ・ソーヴィニョン |
産地 | ナパバレー |
価格帯* | $600台 |
*価格は米国内のネットでの販売価格から参考値
【ワイナリーの特徴】
1980年にナパバレーのラザフォード出身のブドウ栽培家だったデビッド・エイブリューによって設立。1986年にワインを始めて生産し87年に初リリース。ハーランやスクリーミングイーグル、コルギンなどのエステートでのブドウ栽培などの実績からナパバレーで最高の栽培家/畑の管理者といわれる。(ケンゾー・エステートのメンバーでもある)
そのデビッドがセントヘレナやハウエルマウンテンで栽培した自身のワインがAbreu、ほとんどのワインがカベルネ・ソーヴィニョン主体で、少量のメルロー、カベルネ・フラン、プチヴェルドなどとブレンドしたボルドースタイル。
鮮度を保つための朝摘み、手作業による選別、新樽のフレンチオークで2年間、その後、ボトルでの2年間の熟成のあとリリース。
2013年ヴィンテージの100ポイント、12万円弱。
Marcassin
パーカーポイントを10回以上獲得しているカリフォルニアワインの中で唯一のブルゴーニュ品種。
100ポイント獲得回数 | 10回 |
銘柄数 | 3銘柄 |
ヴィンテージ | 1996年に初で90年代は2回、00年代は5回、10年代は3回 |
ブドウ品種 | シャルドネ(7回)、ピノノワール(3回) |
産地 | ソノマカウンティ |
価格帯* | $400台~$800台 |
*価格は米国内のネットでの販売価格から参考値
【ワイナリーの特徴】
ピーターマイケル、コルギン、ブライアントファミリー、マルティネリ、など数多くの国内でも最高のワイナリーでコンサルティングを行ったヘレン・ターリーが夫と設立した彼女自身のブディックワイナリー。
当初はマルティネリのワイナリーを間借りしてつくられていたが現在では自社のワイナリーをもつ。ブドウはいずれもソノマコーストのエステートのもの。
素晴らしいブドウ畑で細心の注意を払って栽培された、低収量で長いハングタイム、天然酵母、などへのこだわり。
2012年ヴィンテージのシャルドネ、13万円弱。
まとめ
パーカーポイント100点を10回以上獲得しているワイナリーを上位から8つ紹介しました。いずれも少量生産、メーリングリストでの販売で一般には入手が難しいワインが多くなっています。
このほかにも有名なカルトワインでは、Harlan(ハーラン)は8回(ただし、Bondボンドと合わせると117回))やScreaming Eagle(スクリーミングイーグル)は7回など。
5回以上獲得は以下のワイナリー、やはりナパバレーのカベルネ・ソーヴィニョンが多いという印象。
Bond | 9回 |
Lakoya Winery | 9回 |
Peter Michael | 9回 |
Harlan | 8回 |
Kapscandy Family Winery | 8回 |
Carter | 7回 |
Morlet Family Vineyards | 7回 |
Screaming Eagle | 7回 |
Spottswoode | 7回 |
Alban Vineyards | 6回 |
Aubert Wines | 6回 |
Bevan | 6回 |
Paul Hobbs | 6回 |
Shafer | 6回 |
どれも一度は飲んでみたいワインですが、100ポイントのワインで長期熟成に向くものは時間とともに価値があがる上がる可能性もあり投資対象としても良いかもしれません。
また、同じ銘柄でもヴィンテージによってその評価が分かれることも多くなっています。
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