カリフォルニアで最も見過ごされているテロワールと言われるサンタクルーズ・マウンテンズとその代表的なワインについて紹介したいと思います。
典型的なカリフォルニアワインと少し違う印象を持つエレガントで複雑な味わいのワインが特徴。あまり知られていないサンタクルーズ・マウンテンズの魅力的なワイナリーやワインを紹介したいとおもいます。
サンタクルーズ・マウンテンズの特徴
サンタクルーズ・マウンテンズ(Santa Cruz Mountains(通称SCM))はサンフランシスコの南、シリコンバレーと太平洋の間の山岳地帯にあるAVA(アメリカぶどう栽培地域、いわゆるアペラシオン)で、ナパバレーと同時期にAVA認定されたカリフォルニアの中でも歴史のあるワイン産地のひとつ。
サンフランシスコから車で1時間程走ると静かなレッドウッドやセコイアの森があり山の中腹に約300の生産者と約70の小さいワイナリーが点在。
隠れ家的な家族経営のワインが点在していて色んな雰囲気を楽しめますよ
気候は地中海性で、冷涼。夏は霧が濃いが標高の高いところでは霧がかからない。
冷涼な気候は程よい酸味を持ちバランスの良いエレガントで高品質なワインを生み出す。果実味が強くアルコール度数も高い一般的なカリフォルニアワインの印象とは少し異なる。また、岩の多い土地で栽培されたぶどうが多くミネラルを持つという特徴も併せ持つ。
全体で1,300エーカーと小さな栽培地域の中で気候、土壌などテロワールの違いみられ、ぞこから生まれるバラエティー豊かでそれぞれが独自の特徴を持つワインを楽しむことができる。
サンタクルーズ・マウンテンズのワイナリー
リッジ(Ridge Vineyards)
世界的に有名なリッジ(Ridge Vineyards)のモンテベロ(Monte Bello)もこの地域のワインであり、カルフォルニアの最高級のボルドースタイルのベンチマークとなる銘柄。
1976年「パリスの審判」で当時は5位だったが、30年後の2006年には2位に17ポイント差と大きく引き離し1位を獲得したワイン。冷涼な気候と石灰岩土壌に由来する酸とミネラルが特徴で凝縮された果実味と渋みのある非常にエレガントなワイン。
その他に同ワイナリーではシャルドネと18年ビンテージから新たにリリースしたピノ・ノワールにも注目。(リッジでもうひとつ有名なジンファンデルはソノマ、パソロブレス等で栽培されたぶどうが使われている)
カリフォルニアのジンファンデルについてはこちらの記事もご参考
2016年ヴィンテージのモンテベロ
エステートのカベルネ・ソーヴィニョン、2015年のヴィンテージ
親会社の大塚食品でも購入出来そうですが少し高め。
リッジのワイナリー巡りはこちらの記事をご参照ください。
マウント・エデン(Mount Eden Vineyards)
マウント・エデン(Mount Eden Vineyards)も世界的に有名なカリフォルニアを代表するブティックワイナリーのひとつ。
シャルドネ、ピノノワール、カベルネソーヴィニヨンを中心に標高約600mで霧の上にある乾燥した土地で栽培されています。
特にシャルドネは1997年の「もうひとつのパリ事件」ですべてのモンラッシェを抑えて堂々の4位に入るなど有名で、またピノノワールは2018年のヘンリー王子とメーガン妃のロイヤルウエディングで選ばれるなど注目を集めています。
2017年ヴィンテージのシャルドネ
2018年ヴィンテージのピノノワール
2016、17年ヴィンテージのカベルネ・ソーヴィニョン
マウントエデンのワイナリー巡りはこちらの記事をご参照ください。
険しい道を抜けると景色がとても良く落ち着いた雰囲気のワイナリーがあります
ビッグベイスン(Big Basin Vineyard)
ビッグベイスン( Big Basin Vineyard) もこの地域を代表するワイナリーのひとつ。サンタクルズ・マウンテン内にワイナリーと自社畑を所有の他、近隣の契約畑からもブドウを調達してワイン造りをしている。
このピノノワールの他、シラーやグルナッシュなどのローヌ系品種に力を入れているのが特徴。
海に近いレッドウッドの森の中にある冷涼な気候、有機栽培、手作りのこだわり、エレガントで自然派なワイン。
リッジ、マウントエデン、ビッグベイスンはいずれもWine & Sprits Top100 Wineries 2021にも選ばれている。
ビッグベイスンのワイナリー巡りはこちらの記事もご参考。
その他のワイナリー
その他にも小規模ながら高品質のワインを作るワイナリーが多い。
特にピノノワールはバランス、濃縮度、ミネラル、複雑さなど上質なワインのすべての重要な要素が含まれている。
悪い意味で表現されることの多いカリフォルニアのジャミーな熟れすぎたピノノワールとは一線を画する上品な味わいが特徴。
リース(Rhys Vineyards)はサンタクルーズマウンテン(SCM)に6つの異なる自社畑を持ち、それぞれのテロワールによる異なった味わいのピノノワールを楽しむことができる。サンタクルーズマウンテンの地質と気候を徹底的に研究し丁寧に作られたエレガントなピノノワールは出荷数は少ないが非常に人気が高く入手困難なワイン。
アメリカでもなかなか入手困難なカルトワインと言っても良いワイン。日本で多く流通しているのが意外。
シャルドネ、こちらは2015年ヴィンテージのアルパイン(SCMの単一畑)
同じ畑の2015年のピノノワール
ミンディゴ・リッジ(Mindego Ridge)は海から12キロ程の距離にある10エーカーの小さな自社畑で栽培されるブドウから作られる。非常に濃縮された果実味とスパイス、酸味のバランスが良く小規模ながらサンタクルーズマウンテンの中でも非常に評価の高いピノノワールの作り手。
日本ではあまり流通してませんが、1本ありました。それもかなりお買い得な感じ。
クロ・ド・ラ・テック(CLOS DE LA TECH)はサイプレスセミコンダクター社の創設者であるTJロジャースがオーナーを務めるというシリコンバレーに近い土地柄を反映したユニークなワイナリー。土地、作り方、設備、すべてに細心のこだわりがみられる高品質なピノノワールが楽しめる。
トーマス・フォガティ(Thomas Fogarty)は1981年にスタンフォード大学の名医フォガティ氏が始めたワイナリー、日本でも比較的手ごろな価格で手に入りやすいワイン。サンタクルーズ・マウンテンの特徴である酸味や豊かな果実味が感じられるピノノワールなので試してみるには良い。
トーマス・フォガティのワイナリー巡りはこちらの記事もご参考。
日本では、イオンでかなりお買い得な感じ。
他にも、デビット・ブルース(David Bruce)、またカベルネソーヴィニヨンでは、キャサリン・ケネディ(Kathryn Kennedy)などが有名。その他にも数多くの家族経営のワイナリーがある。
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