【カリフォルニアワイン徹底ガイド】歴史や特徴から代表銘柄まで全解説

ワイン解説記事

アメリカはイタリア、フランス、スペインに次ぐワインの生産地、その中でもカリフォルニアはアメリカ全体の90%を占める圧倒的な生産量を誇るワインの産地。

つまり、「カリフォルニアが独立した国であったとしても世界で4番目のワイン生産地」ということになります。

そんな大きなワイン生産地であるカリフォルニアのワインについて、歴史、特徴、品種、産地、代表的な銘柄などを解説していきたいと思います。

カリフォルニアワインの全体像を理解してどういったワインを選べば良いのか、ワイン選びのガイドになればと思います。

その他、カリフォルニアと比較すると10%以下の生産量にはなりますが、オレゴン州やワシントン州など他のアメリカワインについても合わせて解説します。

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カリフォルニアのワインの歴史

カリフォルニアのワインの歴史は18世紀のスペインのカトリック教会によるミッションとともに始まったとされています。

南端のサンディエゴから始まり、北はソノマカウンティまで21カ所のミッションが建てられワイン用のブドウが栽培されました。

その後、19世紀半ばには一般にもワインの栽培が広まりゴールドラッシュや鉄道網の普及などの影響でワイン産業が発展につながります。

ナパバレーやソノマカウンティに商業用のワイナリーが設立され始めたのもこの頃。

その後、19世紀末にはフィロキセラ(ブドウアブラムシ)や20世紀に入って、1920年~33年の禁酒法などの影響もあり、カリフォルニアのワイン産業は長い低迷期に入ってしまいます。

長い低迷期を経てカリフォルニアのワイン産業が復活し始めたのが1960年代。カリフォルニア中で多くのワイナリーが建設され始めるのもこの頃です。

その中でも歴史に大きな影響を与えたのが「カリフォルニアワインの父」と呼ばれるロバート・モンダヴィで最先端の栽培や醸造技術をカリフォルニア全体に広めました。

長い低迷期を経て、ようやく復活してきたカリフォルニアワインがさらに飛躍するきっかけとなったのが1976年に開催されたパリスの審判(Judgement of Paris)

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ブラインドテイスティングの対決でフランスの5大シャトーなどを始めとした有名なワインを相手に当時無名だったカリフォルニアのワインが赤、白ともに1位を獲得したという事件で、この事件をきっかけにカリフォルニアワインが世界から注目されるようになります。

1976年 白ワイン(シャルドネ)
・シャトー・モンテレーナ(米) 1973年 132点
・ムルソー・シャルム(仏) 1973年 126.5点
・シャローン・ヴィンヤード(米) 1974年 121点
・スプリング・マウンテン(米) 1973年 104点

・ポーヌ・クロ・デ・ムーシュ(仏) 1973年 101点
以下、米が6位、9位、10位、仏が7位、8位という結果

1976年 赤ワイン(カベルネ・ソーヴィニョン、ボルドーブレンド)
・スタッグスリープ・ワイン・セラーズ(米) 1973年 127.5点
・シャトー・ムートン・ロートシルト(仏) 1970年 126点
・シャトー・オー・ブリオン(仏) 1970年 125.5点
・シャトー・モンローズ 1970年(仏) 122点
・リッジ・モンテベロ 1971年(米) 103.5点
以下、仏が6位、米7位~10位

2006年 赤ワイン(カベルネ・ソーヴィニョン、ボルドーブレンド)
・リッジ・モンテベロ 1971年(米)137点
・スタッグスリープ・ワイン・セラーズ(米) 1973年 119点
・ハイツ・マーサズ(米) 1970年 112点
・マヤカマス(米) 1971年 106点
・クロ・デュ・ヴァル(米) 1970年 106点

以下、仏が6位~9位、米が10位

その後、世界の資本家がナパバレーにワイナリーを建てたり、買収、資本提携などが起こりました。

ペトリュスのオーナーによるドミナス・エステートやロートシルトとモンダヴィとの合弁事業であるオーパスワンなどがその代表例。

1990年代にはワイナリー数は800を超えるようになり、シリコンバレーからの資金流入、ブティックワイナリーの流行、オークションでの高額での落札など、カリフォルニア、特にナパバレーのワインは世界的な高級ワインの産地にまで成長します

低迷期からカリフォルニアのワインを支えてきたUCデーヴィスをはじめとする大学などでの栽培、醸造学の研究やワインメーカーの排出なども発展に大きく寄与。

海外の良いところを取り入れながらも独自に発展していくのはアメリカらいしところ。

カリフォルニアのワインの特徴

気候

カリフォルニアは地中海性気候、夏季は高温乾燥、冬季は温暖湿潤でブドウの栽培に最も適している気候のひとつ。

日照にも恵まれており、ブドウの成長期は安定して長く、また昼夜の温度差も大きいため多様で高品質なブドウ栽培が可能となっています。

南北に長い沿岸部では、海流の影響で緯度が低くても冷涼な気候となっており、ピノノワールやシャルドネといったブルゴーニュ品種の栽培にも最適。

やや内陸の斜面の畑などでは強い日差しを受けカベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、などの高品質なボルドー品種やシラーなどのローヌ系品種が栽培されています。

成長期の乾燥した気候はブドウの栽培には最適ですが、近年は夏から秋にかけて山火事の被害も増えていてナパバレーなどのワイン生産地でも一部被害が出るなど大きな問題となっています。

土壌

ワインの香り、味わいに大きな影響があるとされる土壌。砂、粘土、ロームなどの粒度の違いや、花崗岩、火山性土壌、石灰岩など、カリフォルニアは多様性に富んだ土壌を持っています。

例えば、ナパバレーの限られた地域だけでも世界の約半分の土壌が存在するといわれているほど。

地域、畑、区画単位で異なる土壌によって、多様で複雑なワインが楽しめるのもカリフォルニアワインの特徴。

カリフォルニアのワインのブドウ品種:代表的な7品種

アメリカはイタリア、フランスに次ぐワインの産地で約80万エーカー(3,200平方キロ、東京の1.5倍くらい)の栽培面積があり、そのうち90%がカリフォルニア。

その中で、人気の品種は、赤ワイン用の黒ブドウでは、カベルネ・ソーヴィニョン、ピノノワール、メルロー、ジンファンデル、シラーの順。白ワインでは、シャルドネ、ピノグリ、ソーヴィニョンブランの順となっている。

赤ワインの品種:5品種

赤ワインに使われる黒ブドウの中でも代表的な5品種について解説します。もちろんこれら以外にもたくさん品種があります。

カベルネ・ソーヴィニョン

カベルネ・ソーヴィニョンはナパバレーを中心とした高品質なものが多く、ボルドーと並ぶ世界的な産地となっている。ナパバレーを中心としたカルトワインといわれているもののほとんどがこの品種。

高価格帯のものが多いのがこの品種ですが、パソロブレスなどナパ以外の地域では比較的リーズナブルで高品質なものもあり人気が高まっています。

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カリフォルニア以外だとワシントン州も比較的低価格で高品質なものがあります。

ピノノワール

ピノノワールはソノマカウンティを中心にサンタバーバラなど海岸近くの冷涼な地域で生産されており近年人気の高まっている品種

カリフォルニア以外ではオレゴンのピノノワールも世界的にも注目されています。

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メルロー

メルローはカベルネ・ソーヴィニョンとのブレンドで使われることが多いがが単一で高品質なものもある。一時期人気が低迷していましたが、近年復活してきている品種。

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ジンファンデル

ジンファンデルはアメリカ独自の品種で豊潤でスパイシーな味わいでアメリカ料理との相性も良く人気が高い品種。比較的暖かい地域で栽培されています。

シラー

シラーは急拡大する人気の品種で単一品やローヌブレンドとして使用される。セントラルコーストが人気の産地でカルトワインも人気が高い。

カリフォルニア以外ではワシントン州が有名な産地。

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白ワインの品種

白ワインに使われるブドウの代表的なもの2種類を解説します。

シャルドネ

シャルドネは最も人気の高い品種。海に近く冷涼な気候を中心にソノマカウンティ、サンタバーバラ、モントレーなど広い地域で栽培されています。

リーズナブルなものから高級なものまで価格帯も幅広い。豊潤でリッチなものが多い印象だが最近ではエレガントなスタイルのものも増えています

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ソーヴィニョンブラン

ソーヴィニョンブランさわやかな味わいで近年人気が高まっている品種

ナパバレー、ソノマカウンティで高品質なものが多くなっています。

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カリフォルニアワインの産地

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カリフォルニアのワイン産地は大きく分けて6つの地域からなる。ファーノース、ノースコースト、セントラルコースト、アイランドバレイズ、シエラフットヒルズ、サウザンカルフォルニア。

その中で高品質のワインは、沿岸部のノースコーストとセントラルコーストに集約されています。

それぞれの地域の中にさらに細分化された郡などの地域(ナパバレー、ソノマカウンティ、など)がありさらに、その中にAVA(アメリカブドウ栽培地域)があります。

AVA( American Viticultural Areas ) とは

カリフォルニアには142のAVAがある。周囲の地域と区別するため、ブドウの栽培に影響を与える特定の地理的、気候的特徴を備えた区切り。ラベルにAVA名を表記する場合はそのAVAのブドウを85%以上使用している必要があります。

例)オークヴィル(ナパバレーの中でもオーパスワンを始めとしたトップワイナリーがあるAVA)、ロシアンリバー(ソノマカウンティの中でもピノノワール、シャルドネで世界的に有名な産地)、など。

ノースコースト

その名の通り北カリフォルニアの海岸沿いの地域がノースコート。カリフォルニアでも最も有名なワイナリーが数多くある地域。ナパバレー、ソノマカウンティは特に有名で、ノースコーストの北端にあるメンドシーノもピノノワールの銘醸地。

ナパバレー

サンフランシスコから北に車で1時間ほどにある世界的にも有名なワインの銘醸地。

圧倒的なブランド力を誇るが栽培面積は45,000エーカー(180平方キロ)でボルドーの6分の1、カリフォルニア全体の4%と規模は小さい。

東西を山に挟まれた南北に約50キロの長い谷(バレー)でその谷(バレー)と山(マウンテン)、湾(ベイ)の大きく分けて3つの地域、さらに細分化された17のAVAから構成されています。

地中海性気候と世界の約半分の土壌を有するといわれる多様な土壌のワイン造りに最適な環境。

ナパバレーの代表的な品種は何といってもカベルネ・ソーヴィニョン。生産量では全体の半分がこの品種で金額にすると3分の2と圧倒的。

域内には500近いのワイナリーがありますが、特に有名なものは、カリフォルニアワインの父が設立したロバート・モンダヴィ、そのモンダヴィとフランスのムートン・ロートシルトが共同で設立したオーパスワン、カルトワインで世界でも最も効果なワインのひとつスクリーミングイーグル、同じくカルトワインのハーランエステートドミナスなど。

また、歴史的にはパリスの審判で赤ワインでトップになったスタッグスリープ・ワインセラーズ、白ワインでトップになったシャトー・モンテレーナなども。

ソノマカウンティ

ナパバレーの隣、マヤカマス山脈を挟んで大西洋側(西側)に広がるのがソノマカウンティでナパバレーと並ぶカリフォルニアワインの代表的な産地。

広大な土地を持つがワインの栽培面積はその6%にあたる63,000エーカー(255平方キロ)でナパバレーの1.4倍程度。

大西洋沿岸からマヤカマス山脈までの地域には19のAVAがあり、沿岸部に比較的近いソノマコーストやロシアンリバーなどではピノノワールやシャルドネなどのブルゴーニュ品種が、内陸部ではカベルネ・ソーヴィニョンやジンファンデルなどが栽培されており、ナパバレーと比較してバラエティーが豊富。

域内には400を超えるワイナリーがある。オーベルマーカッシンキスラーといった世界を代表するような超高級なシャルドネや、ヴェリテピーター・マイケルなどのカベルネ・ソーヴィニョンなどはナパバレーの高級ワインにもひけをとらない。

ピノノワールでは産地やブドウ畑が重視される傾向にあり、特に、ロシアンリバーやソノマコーストの優秀な畑のものは複数のワイナリーで醸造されています。(詳細はこちらの記事

セントラルコースト

サンフランシスコから南に500km続く長い海岸沿いのエリアがセントラルコースト。シリコンバレー近くのサンタクルーズ・マウンテン、その南のモントレーカウンティ、サンフランシスコとロサンゼルスの中間に位置するパソロブレス、セントラルコーストの南端のサンタバーバラなどが有名な産地。

パソロブレス

サンフランシスコとロサンゼルスからそれぞれ車で約3時間の中間地点に位置する近年急成長しているワインの産地がパソロブレス。

太平洋沿岸に位置する南北40キロ、東西70キロの一帯に40,000エーカー(160平方キロ)栽培面積を誇る。ナパバレーとほぼ同等の規模。

沿岸部から内陸部にかけて11のサブAVAがあるが高品質なワインが多いのが沿岸部に近く標高の高い地域。カリフォルニアには珍しく石灰岩などを含む土壌や沿岸からの冷涼な空気、長い日照時間と昼夜の寒暖差など非常に恵まれた環境。

特にカベルネ・ソーヴィニョンやシラーなどのローヌ系品種、ジンファンデルなどの人気が高い。

域内には200以上のワイナリーがありますが、ナパバレーやソノマカウンティと比較するとまだまだ知名度では劣るがその分評価が高く高品質でも比較的リーズナブルなワインを探すことが出来きます。

サンタバーバラ

ロサンゼルスの北車で1時間半ほどにあるのがサンタバーバラ。沿岸部にあるダウンタウンはスペインの街並みや美しい海岸などリゾート地としても有名な場所。

ブドウの栽培面積は15,000エーカー(60平方キロ)とナパバレーの3分の1と比較的小さなAVAとなっています。

太平洋沿岸の山脈で挟まれた東西に横断する谷が特徴で、影響で海からの冷涼な空気が遮られることなく谷に流れ込み「北半球で最も南になる冷涼な気候」のワイン産地となる。このユニークな横向きの谷の影響で微気候と多様な地形を生み出しています。

域内には7つのサブAVAがあり、沿岸部の冷涼な地域ではピノノワールやシャルドネなどのブルゴーニュ品種が、内陸部ではシラーなどのローヌ系品種やカベルネ・ソーヴィニョンなどのボルドー系品種が栽培されていて世界的にみても多様な品種が栽培されている地域。

特にピノノノワールは映画「サイドウェイズ」の舞台となったことでも有名で実力的にもソノマカウンティとともにカリフォルニアを代表する産地です。

日本ではオーボンクリマなどが有名だがそれ以外にも優秀なワイナリーが多数。またカルトワインのシネクアノンもサンタバーバラの北ベンチュラで醸造されている。

サンタクルーズ・マウンテン

WINES OF THE SANTA CRUZ MOUNTAINS

サンフランシスコの南、シリコンバレーと太平洋の間の山岳地帯にある地域。全体で1,300エーカー(5平方キロ)と非常に小さい地域ながらカリフォルニアでも知る人ぞ知るワイン産地。

太平洋から近く標高が高いため冷涼な気候で、セコイヤやレッドウッドの森の中にあるため土地が入り組んでおり、狭い地域の中でもブドウ畑によって異なる土壌や気候を持ちます。

この気候と標高、岩の多い地形という特徴からエレガントでミネラルを含んだワインが特徴。ピノノワールやシャルドネなどのブルゴーニュ品種をはじめとして、カベルネ・ソーヴィニョン、シラーなども栽培。

域内には70のワイナリーがある。特にリッジはカリフォルニアを代表するカベルネ・ソーヴィニョンの生産者、マウントエデンもシャルドネやピノノワールで有名。

モントレー

montereywinesfoundation.org

サンフランシスコから南に車で2時間弱、ビッグサーの険しい海岸やカーメルの美しい街並み、穏やかなペブルビーチの海岸など、美しい景色で有名なモントレーはワインの生産地としても有名。

栽培面積は46,000エーカー(190平方キロ)とナパバレーより少し大きい。モントレー湾の影響による風、霧によって特に朝晩は冷涼な気候がモントレーカウンティ全体の特徴。

栽培されているブドウも40種類以上と多様で、中でもシャルドネ、ピノノワールの生産量が多く、カリフォルニア全体の中でもそれぞれ50%、20%の生産量のシェアを占めています。

恵まれた気候に加えて、機械化や灌漑などが進んでいることで安定して高品質なワインを大量に生産することを可能にしているのもモントレーカウンティの特徴。

優秀なワイナリーも多いがモントレーで栽培されるブドウのうち約半分はモントレー外のワイナリーによって生産されるなど生産地としての評価も高い。例えばサンタルチア(AVA)のピノノワールなどはソノマやナパ、サンタバーバラなどの有名ブランドのワインとしてラインナップされている。

日本で人気のカレラは厳密にはモントレーではないがモントレのすぐ南に位置しています。

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その他(カリフォルニアワイン以外のアメリカの代表産地)

オレゴン

willamettewines.com

カリフォルニアの北に位置するオレゴンは全米で第4位の生産高を誇る地域。得にピノノワールは世界的にも評価が高い。ブルゴーニュとほぼ同じ緯度にあり冷涼な気候など恵まれた環境でエレガントなスタイルのピノノワールが多い。そのほとんどがウィラメットバレーにあります。

ワシントン州

カリフォルニアに次ぐ2番目に大きなワイン生産地。恵まれた気候により高品質で比較的リーズナブルなワインが多い。特にカベルネ・ソーヴィニョンを主体としたボルドー系品種や、シラーを主体としたローヌ系品種は世界的にも評価が高いワインが多い

washingtonwine.org

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品種別の代表的な銘柄

カリフォルニアを代表する品種とその品種を代表する銘柄を赤ワインはピノノワール、カベルネ・ソーヴィニョン/ボルドーブレンド、シラー/ローヌブレンド、メルロー、ジンファンデル、白ワインはシャルドネ、ソーヴィニオンブランの順で紹介していきます。

ピノノワール

ピノノワールは産地や畑が他の品種と比較しても重要な役割を持つ品種。

他の品種でも同様だが、

単一畑(ワイナリー所有の自社畑(エステート)や契約畑の畑名)>AVA(ロシアンリバーなど)>カウンティ(ソノマカウンティなど)>より広い地域(ノースコーストなど)>カリフォルニア

といったように範囲が限定されるにつて価格も上昇する傾向にあります。逆に言うと優秀な畑、AVAであるからこそそこに限定したもので醸造するという考え方も出来ます。

カリフォルニアのワインのラベルの見方

例えば、このラベルの場合は、

一番上に書かれているのがワイナリーの名前「Hartford Court」
その下に大きく書かれているが畑の名前「Far Coast Vineyard」
その下にあるのがAVA「Sonoma Coast」

となる。大きな範囲からいうとこのワインは、

①カリフォルニアにある
②ノースコーストの中の
③ソノマカウンティの中の
④ソノマコーストAVAの中の
⑤ファーコーストという畑、から採れたブドウで造ったピノノワール、ということになる。ラベルに書かれているのは④と⑤のみ。

特に、ピノノワールなどのアペラシオンを重視するような品種では⑤に近いほど高価なワインとなる傾向にあります。

ちなみにこちらのワインはワイナリー価格で$85なのでやはり高価。

100ドル以上

カリフォルニアのピノノワールで$100を超えると超高級な部類に入る。有名ワイナリーでかつ有名な地域の単一畑のもので評価が高く生産量も少ないワイン。

ソノマだと、ウィリアム・セリエム、コスタ・ブラウン、オーベル、など。

サンタバーバラではシースモークなどは一般には入手難。

50ドル-100ドル

$50以上は単一畑のレベルの高い有名ワイナリーのものや「ロシアンリバー」といったAVA限定のものも。

ノースコーストの北端のメドシーノのゴールデンアイ、ソノマカウンティだとジョセフフェルプス、ダットン・ゴールドフィールド、ハードフォード、オールホブス、ウェファーラーなど。

サンタバーバラやその他の地域では、ォクスン、メルヴィル、サンフォード、オー・ボンクリマ、ザ・ヒルト、ポール・ラトー、ビエンナシド、カレラなど。

50ドル以下

$50以下だと、有名ワイナリーでもより広い地域のもの、例えば「ソノマカウンティ」といった大きな地域内でのブレンドのものだと$30以下でも手に入ります。

例えば、カレラのセントラルコーストはワイナリー価格で$30、実勢価格は$25程度。

カベルネ・ソーヴィニョン/ボルドーブレンド

長期熟成に向くこともあり、ピノノワールと比較するとより高い価格帯のものが多い。ナパバレーは今ではボルドーと匹敵する産地。

レイティングの高いものを探そうとすると$50以上となってしまうことが多くなります。

カルトワイン

生産量が限定されていてメーリングリストでのみ販売しているようなワインは市場価格は$500以上、どちらかというと投資目的のワインかもしれないが、例えば、ナパだとスクリーミングイーグルハーラン・エステートがその代表例、ソノマだとヴェリテピーターマイケルなど。

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100ドル以上

生産量はそれなりにあるが、毎年高いレイティングを出す有名ワイナリーのもの。リッジのモンテベロ、スタッグスリープ・ワインセラーズ、シェファー、オーパスワン、ドミナス・エステート、ジョセフフェルプスのインシグニア、ケイマスのスペシャルセレクション、など単一畑や厳選された畑の限定のものはいずれも$200を超える価格、ナパバレーのカベルネのこの価格帯は非常に品種が充実している。

ナパ以外のソノマ、パソロブレスだとこの価格帯は最高級に入ってくる。ワシントンではキルセダクリークが有名でパーカーポイントでも5回100ポイントを獲得。

50ドル-100ドル

おなじワイナリーでも単一畑ではなく少し広い範囲のブレンドはこの価格帯で探しやすい。スタッグスリープ・ワインセラーズのアルテミスなどはその例、単一のものはいずれも$200以上だが、自社畑と契約畑の組み合わせのこちらだとワイナリー価格で$75(実勢価格は$50台)。

同様に、ナパバレーだとジョセフフェルプス、シェファー、ダックホーン、ホール、オリン・スウィフト、ハイツ、シャトー・モンテレーナ、スポッツウッド、ケイマス、などこの価格帯もラインナップが豊富。

ソノマだと、シルバーオークジョーダンなど日本でもおなじみのものや、ストーンストリート、ケイメン、アパーチャー、アナコタ

パソロブレスでは、ダオウ、オースティンホープ、ジャスティン、アデライダなどこの価格帯で最高ランクもしくはそれに次ぐレベルのカベルネ・ソーヴィニョンを飲むことが出来ます。

50ドル以下

ナパバレーであればエントリーレベルにはなるが、その他の地域、パソロブレスだと$50程度でセカンド、エントリーレベルだと$20台でも良いものが選べます。

シラー/ローヌブレンド

シラーやローヌブレンドに関しては、ナパバレー、ソノマカウンティよりも、パソロブレスやサンタバーバラなどのセントラルコーストとワシントン州に代表的なワイナリー、銘柄が多い。

こちらの品種もカベルネ・ソーヴィニョン同様に長期熟成にも最適な品種であることから小規模生産で高いレイティングを獲得しメーリングリストのみ販売という形でカルトワインとなるようなものもある。

100ドル以上

シネクアノン、アルバン、サクサムはパーカーポイント100ポイントを複数獲得しており、生産量も限定的なため人気が高い。特にシネ・クア・ノンはカリフォルニアを代表するカルトワインとして有名。

ナパバレーのカルトワインでも有名なコルギンはカベルネ・ソーヴィニョンだけでなくシラーでも高い評価。

サンタバーバラのホナタ、アンドレリミーなどの比較的新しいワイナリーも高評価。

ワシントンでは、Kヴィントナーズ、カユース、レインヴァン

50ドル-100ドル

パソロブレスでは、ラヴァンチュール、タブラスクリークが有名でそれ以外にもサンタバーバラやワシントン州で有名なワイナリーのシグネーチャーがこの価格帯で充実している。ナパバレーのシェファー、サンタクルーズ・マウンテンのビッグベイスンなども高い評価。

50ドル以下

シラー/ローヌブレンドではこの価格帯が充実している。サンタバーバラだとテンスレー、ベックメン、ザカメサ、メルヴィルなど。$30以下もラインナップが豊富。

メルロー

カベルネ・ソーヴィニョンとのブレンドとして使われることも多いが単一品種でもナパバレーなどの地域を中心に一流ワイナリーのものがラインナップで高品質なものも多くあります。

100ドル以上

ソノマカウンティのヴェリテ、ナパバレーのキャップサンディはカルトワインで$400以上。その他、ダックホーンやワシントン州のレオネッティなどはともに$100超でプレミアムメルローの代表格。

50ドル-100ドル

パルメイヤー、アワーグラス、ニッケル&ニッケル、エモロ、ダックホーンの複数畑のブレンドなどが有名。メルローで$50以上だとかなりレベルの高いワイナリーのものを飲むことが出来ます。

50ドル以下

大半がこのクラスのメルロー各ワイナリーから出ているが特定の銘柄で有名なものは特にない。

ジンファンデル

カリフォルニアでも暖かい地域のものは豊潤でスパイシー、価格帯も$20以下とリーズナブルなものが多い。少しエレガントなスタイルとなると、ソノマカウンティやナパバレー、パソロブレスなどの産地のものがある。

50ドル以上

ジンファンデルで$50以上出せばかなりレベルの高いものを入手可能。ハートフォード、ターリー、マルティネッリ、などの単一畑の最高級のもの。

樹齢50年や場合によっては100年といった古樹の単一畑のワインが飲めるのもジンファンデル特有のもの。

30ドル-50ドル

リッジ、セゲシオなどジンファンデルに力を入れているワイナリーのものは品揃えも充実。カリフォルニアブレンドを復活させたといわれるプリズナーもこの価格帯で人気のジンファンデル。

30ドル以下

リッジ、セゲシオなどのブレンドであればこの価格帯でもある、ドライクリークやプリズナーのエントリーであるサルドなども$30以下。

その他赤ワイン

これらの品種以外にもカリフォルニアでは恵まれた気候と多様な土壌をもつため多くのブドウ品種が栽培されています。

ボルドーブレンドで使用されるカベルネ・フラン、マルベック、プティ・ヴェルド、ローヌブレンドで使用されるグルナッシュ、ムールヴェドル、ヴィオニエなですが、これらは単一品種として醸造されていることもあります。

それ以外にも、プティシラーはフランス原産もそのほとんどがカリフォルニアで生産されている品種。アルゼンチンで多く生産されているマルベック、イタリアのサンジョベーゼ、スペインのテンプラニーリョなども少量ながら栽培されています。

市場で流通していなくても、ワイナリーでのみ販売しているケースも多い。そういったものに出会えるのはワイナリーを訪問するときの楽しみのひとつですね。

シャルドネ

カリフォルニアの白ワインで最も人気の品種。特にソノマカウンティは世界的にも有名なシャルドネの産地となっている。その他ではピノノワール同様に大西洋沿岸の冷涼な地域で栽培される。サンタバーバラやモントレーなど。

かつては、樽香が強くリッチでバターっぽいものがカリフォルニアのシャルドネの典型的な味わいのものが多かったのですが、最近でエレガントで繊細なものも増えています。

100ドル以上

ソノマカウンティのオーベル、マーカッシン、ピータマイケルなどは$200以上のカルトワイン。キスラーもカリフォルニアを代表するシャルドネで有名。これらのワイナリーはピノノワールでも有名。

50ドル-100ドル

ソノマカウンティだとやはりこちらもピノノワールでも有名な生産者の単一畑のものハートフォード、デュモル、コスタ・ブラウン、ウェイファーラーなど。

ナパバレーだと歴史的にはパリスの審判で1位を獲得したシャトー・モンテレーナとそのワインメーカーが設立したガーギッジヒルズは有名。

その他の地域では、サンタクルーズ・マウンテンのマウントエデンやサンタバーバラなどのピノノワールで有名なワイナリーのものも多くなっています。

50ドル以下

シャルドネであれば$50以下でも有名ワイナリーの有名産地(AVA単位)でもラインナップが多い。ソノマカウンティだとロシアンリバーやソノマコースト、サンタバーバラだとサンタリタやサンタマリアといったAVA。

ソーヴィニョン・ブラン

シャルドネと比較してリーズナブルな価格帯で最高級のものでも$50程度。ソノマカウンティ、ナパバレーで有名なものが多く、ピノノワールでも有名なメリーエドワーズ、シャルドネでも有名なガーギッジヒルズ、イルミネーション、スタッグスリープ・ワインセラーズ、スタッグスリープ・ワイナリー、ケークブレッドセラーズ、ロンバウワー、ドライクリーク、シネガル、など。

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その他白ワイン

ピノ・グリは低価格のテーブルワインとして生産量ではシャルドネに次ぐ白ワイン。その他にもリースリング、ヴィオニエ、セミヨン、など少量ながら多くの品種が栽培されている。

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カリフォルニアワインの選び方、買い方

品種を選ぶ

まずはどんな品種を飲みたいかを選択する。食事との組み合わせやどういった場面で飲むかなど、で例えば、

バーベキューやピザなどのアメリカンな料理なのでパワフルでスパイシーなジンファンデル

鶏肉の料理やサーモンなどの魚料理ならピノノワール

ちょっと良い肉でステーキを焼くのでカベルネ・ソーヴィニョン

といった感じ。

産地を選ぶ

ナパバレー、ソノマカウンティ、サンタバーバラといったカウンティごとの地域または、より狭い地域

で例えば、

ナパバレーのオークヴィルのカベルネ・ソーヴィニョン

ソノマカウンティのロシアンリバーのピノノワール

というように絞ることも出来る。絞るほど予算も高くなるのでお財布とも相談。

初心者ならまずは、大きな産地の違いで好みをみるのも良いので、カウンティ単位で飲み比べて、お気に入りが見つかればそのカウンティ内で異なるAVAで比較して自分の好みを探すというような楽しみ方もある。

銘柄を選ぶ

品種と産地が何となく絞れたら、どういった銘柄があるのかを具体的にみる。価格、専門家のレイティングとテイスティングノート、一般消費者の口コミのレイティングなどをみながらお気に入りのワインを探す。

レイティングはもちろん大事ですが、自分の好みと一致しない場合もあるので、あくまでも参考にしながら、テイスティングノートや口コミで特徴をみるのも良い。

時間があればワイナリーのホームページでテイスティングノートや詳細な情報を入手したり、Wine.comWine-SearcherVivinoなどで専門家、消費者の口コミやレイティングをみる。

スーパーや専門店で選ぶ際は、Vivinoのアプリでラベルをスキャンするのもおすすめの方法。

赤ワインだと、プロのレーティングが90点、Vivinoが4.0の平均価格が$32、白ワインだと$25あたりが平均価格というデータもあるので、そのあたりを一つの指標にするのも方法のひとつ。

ヴィンテージを選ぶ

スーパーなどで購入の場合は新しいヴィンテージしか置いていない場合が多いと思いますが、特に高級なワインを購入する場合などは飲み頃や当たり年などヴィンテージの情報も調べて購入するのも方法のひとつです。

ワインが決まっていればWine.comWine-Searcher、などで専門家のレイティングをヴィンテージごとに確認することもできますし、地域と品種のレイティングは、ワインアドヴォケイトワインスペクテーターから出ているので一つの参考にするのが良いと思います。


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