【アメリカワイン解説】カリフォルニア「パソロブレス」のワインの特徴と代表的な産地

ワイン解説記事

カリフォルニアのパソロブレス。あまり聞いたことがない地名かもしれませんがロサンジェルス、サンフランシスコのちょうど中間地点のセントラルコーストに位置していて

「恵まれた気候」、「多様な土壌」、「高い栽培・醸造技術」により高品質で革新的なワインを生み出す地域として近年急成長しているワインの産地。

その急成長するパソロブレスの特徴と主要な産地について解説します。

パソロブレスのおすすめワインについて知りたいという方はこちらの記事をご参照ください。

高級ワインにはコルクを抜かずに飲めるコラヴァンがおすすめ!

パソロブレスの特徴

場所・面積

pasowine.com

パソ・ロブレスはサンフランシスコとロサンゼルスのちょうど中間あたり。車で3時間ほどの太平洋沿岸に位置する南北40キロ、東西70キロの一帯。

1983年にAVAとして認定されブドウの栽培面積が40,000エーカー(160平方キロ)、200以上のワイナリーを誇るカリフォルニアでも最も急速に成長しているワインの生産地。2014年にはより細かい11の地域がサブAVAとして認定された。

歴史

パソ・ロブレスでのブドウの栽培は18世紀後半と言われておりカリフォルニアでも最も長い歴史を持つ。商業的なワイナリーが設立されたのは1882年。

この頃に主に植えられたのはジンファンデルでカルフォルニアでも100年以上の樹齢を誇るオールドヴァイン・ジンファンデルの畑が最も集中しているAVAのひとつ。

パソロブレスのワインが急発展したのは2000年代と比較的最近。ワイン用の高品質なブドウの栽培に最適な天候、水はけの良い土壌と好条件がそろっており、小規模な家族経営のワイナリーを中心に50から200へと急増。

急増の影響で品質の安定しないワイナリーもあったが近年では栽培技術や醸造技術の向上によりレベルの高いワインを安定的に生産。

ローヌブレンドやシラーなどでパーカーポイント100点を獲得するようなワイナリーやナパバレーのカルトワインに匹敵するようなボルドーブレンドを生み出すワイナリーなどの出現も人気に拍車をかけている。

気候

pasowine.com

気候は海に近くその影響を受けるものの温暖で内陸性で日照時間が長く、高品質なブドウの生産に欠かせない昼夜の気温差が大きいのが全般的な特徴。ただ、細かくみていくと、域内でも標高差、海からの影響の強弱などにより多様な気候に分かれる。

土壌

土壌も非常に多様で、石灰質、花崗岩、泥灰岩質、火山岩質、粘土質、などほぼ全ての代表的なワイン栽培に最適とされる土壌が揃っている。西側は石灰質を中心とした鉱物系で酸味、ミネラルのあるエレガントなワイン、東の内陸にいくにつれて粒度の細かい粘土質の割合が増えパワフルなワインに向く傾向がある。こちらも細かくみていくと、域内、場合によっては同じ畑でも複数の異なる土壌がみられることがある。

tablascreek.typepad.com

ワインと土壌はこちらの記事もご参考。

ワインの種類

60種類以上と豊富な種類のブドウが栽培されているが、収穫高ではカベルネ・ソーヴィニヨンが半数近くと圧倒的に多く、その他はローヌ系品種 (グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルなど)、やメルロー、ジンファンデル、パソロブレスの南の海岸に近い2つのサブAVA、アロヨグランデとエドナバレーは冷涼な気候からピノノワールとシャルドネの生産が多い。

カベルネ・ソーヴィニヨンは他のカリフォルニアの主要な生産地域に匹敵するが20種類以上あるローヌ品種をはじめとして多様なのが特徴、またそこからつくられるワインも伝統的なブレンドだけでなく革新的で独自なブレンドも多くあり興味深い。

代表的な産地(サブAVA)

アデライダ(Adelaida District)

パソロブレスでも北西に位置する海岸にも近い地域。サンタルチア山脈の南端に位置した山岳地。約300~700メートルと標高が高く、日中の温度変化も15℃以上と高く、土壌は石灰質を多く含んだ土壌が特徴。降雨量も隣接地域と比較すると多い。

カベルネ・ソーヴィニョンやメルローなどのボルドー品種がメイン。その他シラーなどのローヌ品種とジンファンデルなども栽培。

アデライダの特徴
  • 地理:パソロブレスの西、タンタルチア山脈の南端の山岳地
  • 気候:一日の気温差が15度以上と高く、降水量も年間900ミリと多い
  • 土壌:石灰質を含んだ土壌
  • ワインの品種:カベルネ・ソーヴィニョンの他ローヌ品種、ジンファンデル

ウィロークリーク(Willow Creek District)

こちらもパソロブレス内では西側の地域。北部では頁岩、泥岩、砂岩、南部は石灰質の土壌標高も約300~600メートルと高い。周辺の地域より気温は低く降水量が多い。

この地域ではシラーを含むローヌ品種がメイン。

ウィロークリークの特徴
  • 地理:パソロブレスの西、アデライダの南、標高は300~600メートル
  • 気候:一日の気温差が15~20度と高く、降水量も年間600ミリ
  • 土壌:石灰質、ローム、粘土ローム
  • ワインの品種:シラー、グルナッシュ、ムールヴェドルなどローヌ品種

テンプルトンギャップ(Templeton Gap District)

ウィロークリークの南い位置するこちらもパソロブレス内で西側の地域。域内で最も海の影響を受ける海洋性気候。涼しい気候がブドウの成長期を長くするため他の地域より収穫時期が遅い。こちらも石灰質の土壌が中心。

この地域でもシラー、グルナッシュ、ムールヴェドルなどのローヌ品種がメイン。

テンプルトンギャップの特徴
  • 地理:パソロブレスの西、アデライダの南、標高は200~500メートル
  • 気候:一日の気温差が10度程度、降水量も年間600ミリ
  • 土壌:砂質、粘土ローム、場所によっては石灰質
  • ワインの品種:シラー、グルナッシュ、ムールヴェドルなどローヌ品種

代表的なワイナリー
Austin Hope
J Dusi Wines

エドナバレー(Edna Valley)/ アロヨグランデ(Arroyo Grande)

サンルイスオビスポ郡の南西に位置する2つのサブAVAがエドナバレーとアロヨグランデ。海岸に近いことから海洋性気候で涼しい気候からピノノワールとシャルドネの栽培に適した地域。

内陸部はシラーなどローヌ品種が多い。パーカーポイント100点獲得のアルバンや、カルトワインのシエ・クア・ノンもこちらの地域のブドウを使っている。

エドナバレー/アロヨグランデの特徴
  • 地理:パソロブレスの南、標高は70~150メートル
  • 気候:冷涼な海洋性気候で朝霧と午後の微風が特徴
  • 土壌:砂質、粘土ロームが主流
  • ワインの品種:シャルドネ、ピノノワールと内陸はシラーなどローヌ品種

代表的なワイナリー
Alban Vineyards
Talley Vineyards

※パソロブレスの少し南にあるエドナバレーとアロヨグランデは厳密にはパソロブレスを含むより大きなAVAであるサンルイスオビスポAVAに含まれる。

まとめ

パソロブレスはその恵まれた気候と多様な土壌により、近年急速は発展しているワイン産地。ナパバレーやソノマカウンティなどと比較するとまだまだ知名度は低いがその分比較的リーズナブルで高品質なワインを探すことも出来る。

サンフランシスコとロサンゼルスのちょうど中間地点。ビーチや温泉なども近くにあるので、ワイナリー巡りも兼ねた旅行にも最適な場所ではないでしょうか。ロードトリップなら、少し南にあるサンタバーバラも併せて訪問というのもおすすめのコース。

サンタバーバラのワインについてはこちらの記事もご参考。

高級ワインにはコルクを抜かずに飲めるコラヴァンがおすすめ!

コメント

タイトルとURLをコピーしました