サンタバーバラはカリフォルニアのセントラルコーストの最南端にあるワイン産地。
ロサンジェルスの南1時間半くらいのところに位置していて、観光でも有名なところですが、特殊な地形が生む冷涼な気候と多様な土壌により様々な種類のワインの栽培・醸造地、としても知られている地域です。
カルトワインで有名な「シネクアノン」や映画「サイドウェイズ」の舞台となった場所と言えば少し知っているかもしれませんが、それでも、ナパやソノマほどの知名度は低く、歴史も浅い地域。
近年では、最先端のクローンや栽培、醸造技術を採用することで高品質のワイン産地として注目されており、特にピノノワールやシラーなどのローヌ品種は世界的にも評価が高くなっています。
その近年注目されるサンタバーバラのワインの特徴と代表的な産地について紹介します。
サンタバーバラのおすすめワインを先に知りたいという方はこちらの記事もご参照ください。
サンタバーバラの特徴
場所・面積・
サンタバーバラはロサンゼルスから車で約1時間半、サンフランシスコからは4時間ほどの場所にあるワインの生産地。スペインの街並みや美しい海岸などリゾート地としても有名。
ブドウ栽培面積は約15,000エーカー(約60平方キロ)とナパバレーの1/3程度の比較的小さなAVAとなっている。
7つのサブAVAに合計275のワイナリーがありれピノノワール、シャルドネなどをはじめとして70種類以上のブドウが栽培されている地域。
歴史
1782年にフニプロセラ神父がブドウの木を持ち込んだのが始まりで教会の発展とともにミッションワインが造られ、260エーカーほどのブドウ畑があった。
その後1920年の禁酒法、大恐慌、戦争などの影響で衰退。1960年代にワインづくりが再開され、サンタバーバラワイナリーが郡内で商業ワイナリーをはじめ、1975年にファイアストンが地元で栽培された最初のヴィンテージをリリース。
1980年代後半には30近いワイナリーがあり、10,000エーカーほどの栽培面積にまで発展。2000年代に入り、ヒットした映画「サイドウェイズ」の影響もありサンタバーバラが注目を浴びることになる。
現在では、275のワイナリー、15,000エーカーの栽培面積を誇り、人気、実力ともにカリフォルニアを代表するワイン産地となっている。
気候と土壌
サンタバーバラはロサンゼルスの北、車で1時間半程度の場所にあり、セントラルコーストの中では南端に位置する。
太平洋沿岸にあるサンタイネズ山脈(マウンテンズ)と内陸部のサンラファエル山脈の間にある東西に横断する谷が特徴。
この地形の影響で海からの冷涼な空気が遮られることなく谷に流れ込み「北半球で最も南にある冷涼な気候」のワイン産地となる。このユニークな横向きの谷の影響で微気候(マイクロクライメイト)と多様な地形を生み出す。
土壌も石灰質、砂質、粘土ロームと多様。
品種
栽培面積では、ピノノワール。シャルドネのブルゴーニュ品種が最も多い、サンタマリア、サンタ・リタなどのAVAを中心とした冷涼な気候のもとでエレガントなワインがつくられている。
シラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどのローヌ品種やカベルネソーヴィニヨン、ソーヴィニョンブラン等のボルドー系の品種も内陸部を中心に生産されており、全部で70品種と非常に多様。
ユニークな地理、多様な気候と土壌の影響で「世界的にみても非常に多様なブドウ品種」が栽培される地域。
サンタバーバラの主な産地
サンタバーバラには7つのサブAVAがありますがその中でも特に有名なところを紹介します。
サンタ・リタ・ヒルズ(Sta. Rita Hills)
サンタバーバラ内の南東に位置するAVA。サンタ・イネズの一部の西側に位置している2001年にサブAVAとして認定された地域。
太平洋に近接しているため、朝は霧の影響、午後は海からの風の影響で冷涼な地域となっている。土壌は砂と粘土を主体に石灰質と泥灰土のまざったもの。
これらの涼しい気候、霧、風、土壌の組み合わせはブドウの風味を高め、しっかりとしたストラクチャーとバランスの取れた自然な酸味のあるピノノワールとシャルドネの栽培に適している。
栽培面積は2700エーカー(11平方キロ)の土地に59のワイン畑がある。サンフォード&ベネディクト(Sanford & Benedict Vineyards)はこの地域で最初にブドウの木が植えられた畑。
- 地理:サンタバーバラの南東の太平洋に近接した地域
- 気候:冷涼な気候、朝霧、午後は海からの風
- 土壌:砂、粘土を主体に石灰質、泥灰土のまざったもの
- ワインの品種:ピノノワール、シャルドネを中心にローヌ品種
サンタマリア(Santa Maria)
霧が多く吹きさらしのサンタバーバラの最北端にあるAVA。東西に横断する谷(ヴァレー)は太平洋からの冷涼な空気を西から東へ運ぶ。
土壌は基本は砂質ローム層で水はけが多いが畑ごとに多様で複雑、微気候(マイクロクライメイト)との組み合わせによって多様で個性豊かなワインをつくりだす。
海に近い西側のより冷涼な地域ではピノノワールとシャルドネ、比較的温暖な東側ではシラーなどのローヌ品種も栽培されいるが、この地域の代表は何といってもピノノワール。
栽培面積は7500エーカー。ビエン・ナシド(Bien Nacido Vineyards)は高級なピノノワールの栽培で有名な畑。
- 地理:サンタバーバラの最北端
- 気候:東西に横断する谷が太平洋の冷涼な空気を運ぶ
- 土壌:砂質ローム層
- ワインの品種:ピノノワール、シャルドネを中心に内陸の東側ではローヌ品種も栽培
その他
域内で最も大きいのが南側の東西に長いサンタイネスバ・ヴァレーで、西側からサンタ・リタ・ヒルズ、バラードキャニオン(Ballard Canyon)、ハッピーキャニオン(Happy Canyon)のサブAVAを含む地域。西から東にかけて温暖になり、品種はバラードキャニオンではシラーが約半分、ハッピーキャニオンではカベルネソーヴィニヨンを中心としたボルドー品種を中心にシラーなどのローヌ品種も多く栽培されている。
その他サンタバーバラを代表するワイナリー
Sine Qua Non (醸造はサンタバーバラの南にあるベンチュラ)
Au Bon Climat
Jonata
Andremily Wines
まとめ
- ロサンゼルスから北に1時間半のにあるカルフォルニアでも南端に位置するワイン産地
- 東西に位置する谷や大西洋からの海流の影響で冷涼な気候が特徴
- 微気候(マイクロクライメイト)や多様土壌な土壌を有しそのため多様な品種のブドウが栽培可能
- 冷涼な気候ではシャルドネやピノノワールといったブルゴーニュ品種、内陸部ではローヌ系品種が多く栽培されており、いずれも世界的にもレベルの高いワインを生み出している
個人的にも、サンタバーバラは大好きなワイン産地、ワイナリーはまだまだ牧歌的な雰囲気を残していて、テイスティングも比較的リーズナブル。
高品質のワインが比較的リーズナブルに手に入ったり、掘り出しものが見つかることもあるのでサンタバーバラ観光の際にはぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
日本ではなかなか知名度がないですが、「オー・ボン・クリマ」などもサンタバーバラ発祥のワイナリー。またローヌ系ブレンドで有名なカルトワイン「シネ・クア・ノン」もサンタバーバラの少し南のベンチュラ発祥でサンタバーバラにもブドウ園を持つワイナリーとして有名。サンタバーバラのワインをみつけたらぜひ試してみてください。
サンタバーバラのおすすめワインを先に知りたいという方はこちらの記事もご参照ください。
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