ワインは一度ボトルを開けたら早めにの飲まないと劣化してしまいます。
家庭でもいろんな種類のワインを少しずづ、劣化を気にせずに飲みたい。そんな要望に応えてくれるのがアメリカで開発されたCORAVIN(コラヴァン)です。
そのコラヴァンの特徴や他の保存方法との比較、具体的な楽しみ方などについて紹介していきたいと思います。
コラヴァンとは?
コラヴァンはアメリカで開発された、ワインボトルを開けずにワインをグラスに注ぐことを可能にした革新的なツール。
特許取得済みの技術を使用しており、アルゴンガスを使ってワインボトル内に非反応性の環境を作り出し、ワインの酸化を防ぎつつ、熟成を妨げないよう設計されています。
これにより、一度にボトル1本を飲む必要がなく、ワインを数週間から数カ月、場合によっては数年にわたって新鮮な状態で楽しむことができます。
特に、高級ワインを自宅で飲むときにはとても便利です
アメリカで開発されて人気でしたが、日本では当初はアルゴンガスの飲料への仕様の規制からアルゴンガスの代わりに窒素を使用したカートリッジが代替品として使用されていました。2019年に規制が緩和され、ようやく本国と同じアルゴンガスのカートリッジも販売されるようになりました。
コラヴァンの使い方
コラヴァンの使い方はとても簡単です。
英語ですが、以下の動画が参考になります。
➊ 準備
- コラヴァンにアルゴンガスのカートリッジをセットします。
- ワインボトルのキャップシール*を除去するか、あるいは適切な場所で針(ニードル)が通るようにします。
*キャップシールは通常ワインボトルを開けるときのように取り除いても、そのままでもどちらでも構いません。
❷ 針(ニードル)の挿入
- コラヴァンの針(ニードル)をコルクに垂直に差し込みます。ハンドルで上部全体を押し下げることで簡単に差し込むことが出来ます。
❸ ワインを注ぐ
- コラヴァンをボトルの首からやや傾け、グラスにワインを注ぎたい分だけトリガーを押して解除します。アルゴンガスがボトルに注入され、ワインがグラスに流れ出します。150mlのワインを注ぐには25~29秒ほどかかります。
❹ 注いだ後
- レバーを戻し、針(ニードル)をコルクから抜き取ります。天然コルクであれば、穴は自然に閉じて漏れることはありません。
❺ 後処理
- 針(ニードル)と本体を清潔に保ちます。
注意点として、コラヴァンは天然コルクを使用したワインボトルにのみそのまま使用可能です。スクリューキャップや合成コルクは専用のキャップを別で購入する必要があり、一度開封する必要があるので保存期間も少し最大3カ月と短くなるようです。
コラヴァンの特徴(メリットやデメリット、他の保存方法との比較)
メリット
コラヴァンの最大のメリットは、ワインを酸化から守りながら、必要な時に必要な量だけを楽しむことが出来る点です。高級ワインや、異なる種類のワインを同時に楽しみたいときなどに便利です。ワインの熟成を確認したり、特別な日に少しずつ楽しむことも出来ます。
- 酸化を防ぎながらワインを長期保存できる
- 複数のワインを開けて同時に楽しむことが可能
- 効果なワインを少量ずつ楽しむことができる
- ワインの熟成を観察することができる
デメリット
コラヴァンにはいくつかのデメリットも存在します。まず、初期コスト*が高く、アルゴンガスカプセルの継続的な購入が必要です。また、天然コルク封じのボトルにのみ使用可能であり、合成コルクやスクリューキャップには対応していません。このため、使用できるワインボトルが限られてしまう点も考慮する必要があります。
- 初期コストが高い
- アルゴンガスカプセルの継続的な購入が必要
- そのまま使えるのは天然コルクのみ、合成コルクやスクリューキャップは別売りのキャップが必要
*初期コストは、最も人気があり一般的なタイムレス3+のセットで4万円程度となります。
他の保存方法との比較
コスト | 保存期間 | 使用の手軽さ | 対応コルク | |
コラヴァン | 高い | 長期間 | 簡単 | 天然コルクのみ |
バキュームポンプ | 低い | 短期間 | 簡単 | 全てのコルクに対応 |
プライベートプリザーブ | 中程度 | 中機関 | 簡単 | 全てのコルクに対応 |
ワインサーバー | 非常に高い | 長期間 | 専門知識が必必要 | 全てのコルクに対応 |
バキュームポンプ
バキュームポンプは手頃な価格で、使用が簡単ですが、酸化を完全に防ぐことが出来ません。一般的には数日から1週間程度の短期間の保存向き。また真空状態は、ワインの揮発性成分を抜き取る可能性があり、これによってワインの風味が損なわれる可能性があります。
1,000~4,000円程度で色々な種類のものがあります。空気を抜くだけなので追加費用はかかりません。
オープナーとセットになったものや手動、自動、いろんな種類のものがあります。
プライベートプリザーブ
プライベートプリザーブはワインボトル内に不活性ガス(窒素、アルゴン、二酸化炭素の混合ガス)を噴霧し、酸化を防ぎます。比較的手ごろな価格で、複数のボトルに使用できる点がメリットですが、ボトルを開封する必要がありコラヴァンほどの長期間の効果は期待できません。
価格は2,000円前後で、通常サイズのワインボトルで90回分(450噴射)使えますので1回当たりの金額は20円程度。
ワインサーバー/ディスペンサー
ワインサーバー/ディスペンサーは業務用として使われるもので、ワインを最適な状態で保ちながら提供できるものですが、非常に高価で、スペースも必要なので一般的な家庭での使用は現実的ではなさそうです。
具体的な使い方・楽しみ方の例
コラヴァンを使った場合の1杯あたりのコストはどれくらいになるのでしょうか?
アルゴンガスはまとめ買いすると1本あたり、1,500円程度で購入可能。1本でボトル3本分は(1杯125mlとすると、18杯分)に使うことが出来ます。
1杯あたり、80円くらい。
ただし、残りが少なくなった場合には抜栓してしまうこともありますのでもう少し安くなります。逆に、初期コスト*は上記に含まれていませんので、あくまでも参考値です。
決して安くはないですが、高級ワインをゆっくり楽しむことが出来ることを考えると価値があるのではいでしょうか。逆に安いワインに使う意味はあまりなさそうです。
アメリカだとアルゴンガスが5ドル程度で購入できるので割安。
*初期コストは、最も人気があり一般的なタイムレス3+のセットで4万円程度となります。
熟成観察や高価なワインを少量ずつ
特定のワインを年に数回試飲し、その熟成の過程を観察します。これにより、ワインの風味や香りが時間とともにどのように変化するかを楽しむことができます。特に、長期間にわたって変化を追いかけられる点がコラヴァンの大きな魅力です。
ケース買いしたようなワインの飲み頃を判断することも出来ますね。
また、高価なワインを記念日などに少しずつ飲むというような使い方も出来ます。
食事とのペアリングやテイスティングパーティー
コラヴァンを使えば、少人数でも一度の食事で複数のワインを楽しむこともできます。
前菜、メイン、デザート、などに合わせたワインのペアリングを少しずつ楽しむことが出来ます。また自宅で友人などとテイスティングパーティーなどをすることも出来ます。
日常使い
1杯(125ml)あたり、約80円かかりますので1,000以下のような安いワインに使うのはもったいないですが、3,000円程度のワインを少しずつ色々な種類を変えて飲むという事も出来ます。
例えば、夫婦二人で週末にボトル1本分を飲む場合、毎週3本ずつ違う種類を開けて12種類のワインを3カ月かけてローテーションしていくことが出来ます。
シャルドネなどの白、ピノノワールなどの軽めの赤、カベルネ・ソーヴィニョンなどの重めの赤を毎週末食事に合わせて3種類を1杯ずつ飲むという感じの楽しみ方が出来ます。
もう少したくさん飲みたい場合だと、夫婦で週にボトル2本分(一人6杯分)で24種類のワインを3カ月かけてローテーションする。
12本入りや24本入りのワインセラーがあれば管理もしやすくなります。
うちでは、小さいセラーはほぼコラヴァン専用に使っています。
まとめ
コラヴァンはワインの楽しみ方の幅を大きく広げてくれるとても便利なツールです。
抜栓したら飲み切らないといけない、というプレッシャーから解放され、自分のペースでゆっくり好きなワインを楽しんだり、飲み比べしたり、熟成を楽しんだり。
個人的にも、最近では30ドル以上のワインにはほぼ全てコラヴァンを使用しています。
ワイナリーでも平日など人の少ないときに行くとコラヴァンを使用しているところが多く品質が高いことの証。
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